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株式会社東京マルイ 岩澤専務


【質問1】 簡単に自己紹介をお願いいたします


 弊社、株式会社東京マルイの専務取締役を勤めている岩澤です。自己紹介といっても自身に関することはお話ししてもね(笑)。簡単に東京マルイの話をしましょう。
 玩具メーカーとしての東京マルイは昭和45年5月の設立ですが、その前身は製菓メイカーでしてね。製菓といっても駄菓子ですよ。モナカの皮‥‥っていうか、水飴を買ったときについてくるパリパリせんべいって言うのかな。そういったものを手がけて全国に販売していました。その後には駄菓子屋むけの小さなおもちゃも手掛けましたが、売り値が5円や10円のものでしょ、うちから卸すときは、その半値だから、数は売れて忙しいけれども儲からなかったなあ。(笑)
 そのうち、もう少し商売になるものを造りたいと考えてね、1個、50円や100円という高額商品のおもちゃも造ったわけです。いや、それ以前が「何銭」の商品だったわけだし、40年ほど前の話なので50円といえば高額でしたよ。
 いま、東京マルイと聞くと、多くのお客さんはエアガンのメイカーだというイメージを持つでしょうけど、元々、そして今でも、東京マルイは総合ホビーメイカーですから。

【質問2】 どういった流れでトイガンの製造を始めたのでしょうか?


 東京マルイが少しずつ力をつけた頃に、今でも人気のあるウルトラマンシリーズってあるでしょう、ああいったキャラクター関連の版権を手に入れて玩具つくりをしたところ、それが爆発的に売れましてね。うちは昔からアイデアを組み込む製品つくりをポリシーの一つにしていて、他社とは違ったものを提供してきたのが良かった。でも、そういうブームでの販売は、ブームが去るとダメでね。先週まで売れていたものが今週は売れない。それじゃあ会社は経営できない。そこで車のプラモデルを作ったり、いろいろ試行錯誤を重ねて、ガンのプラモデルを手掛けるようになったのが切っ掛けです。
 まだまだプラモデルの人気がある時代だったから、組み立てて遊べるモデルガンという位置づけでの製品でした。完成品のモデルガンは1万円以上もするけどプラモデルならば2000円や3000円で買える。それが受け入れられて大ヒットシリーズになりました。おもちゃショウではデモンストレイションで、火薬をつめたオートマグを撃ちましてね。それを見ていたお客さんたちの顔は今でも忘れられない。驚いていましたよ。バーンって音が抜けて火が出ましたから。

【質問3】トイガン関連の製品づくりは順風満帆であったということでしょうか?


 いや、「造るモデルガンシリーズ」の開発では火薬の力でブローバックさせたいっていう考えがあったから、それを完成させるのに苦労しましたね。第一号のワルサーP38の試作品を造ったところ、25年前の金額で100万円掛かったものが、1発の試射でバラバラですよ(笑)。目の前でバラバラ。今だから笑えますけど、当時は真っ青になりましたよ(笑)。ブローバックモデルでは大きな力が部品に掛かるのに、その試作品は、従来の組み立て式モデルガンと同じ強度しかなかったのが敗因だった。プラモデルでのブローバックモデルは不可能だという声も上がりました。でも諦めたくなかった、私は、自分自身が子供の頃から鉄砲が好きだったし、物つくりにはこだわりを持っていたから、必ず完成させるっていう想いが強かったかなあ。
 そして、造るモデルガンシリーズの次に造るエアガンも作ろうって話になりましてね。でも時代はプラモデルではなく完成品を求めていた。子供たちは完成品が当たり前という感覚になりはじめていたんですね。そこで、完成品のエアガン、後の1900円シリーズの第一号のルガーP08とつながるわけです。
 完成品を始めて手掛けるとき、あるメイカーの人に、「完成品は怖いよ。少しでも製品に不満があれば、その原因はメイカーの責任になるから‥‥」と言われて、より一層気を引き締めて企画を進めたわけです。

【質問4】1900円シリーズといえばエアガン史を塗り替えた傑作ですが、心がけたことがありましたか?


 完成品でも1900円ですよ。当時のエアガンの価格は安価なものでも5000〜6000円はしていた。その1/3の価格ですから業界でもエアガンファンの間でも話題を呼んだ。悪いウワサも飛びましたね。すぐに壊れるだろうとか、弾は飛ばないとか当たらないとか。安かろう悪かろうという話です。ウワサです。
でもね、これは今でも東京マルイの製品つくりのポリシーなんですがね、安価なものほど気を使ってしっかりと造らなきゃいけない。安いから壊れてもいいとか出来が悪くてもいいっていうのは間違っている。逆なんだなあ。1万円や2万円のものを造るよりも気を配らなければ安価な製品は造れない。買う人の気持ちを考えれば当然でしょ。少しずつお金をためて1900円の製品を買っていただくわけですよ。そのお客さんにとっては大事な、やっと手に入れたエアガンですよ。そのエアガンしかないんですよ。1900円だろうと高性能で耐久力も高いのは当たり前でないと困る。お客さんが困る。
そのポリシーだけは絶対に曲げないできましたから、お陰さまでお客さんには喜んでもらえています。ただ、うちの開発スタッフは泣いてるようです。(笑)

【質問5】この夏、BBスポーツフィールドを完成させました。そのへんのお話をお願いします。


 これまでのメイカーはエアガンだけを造ってきたでしょ。でもね、遊ぶ場所は絶対に必要ですよ。誰でも使える場所、楽しめる場所は絶対に必要。つまり、エアガンファンに楽しんでもらいたいという気持ちでBBスポーツフィールドを作りました。銃刀法が改正されたりと、最近の情勢を見ると、その必要性は高まっていると思います。
 それから、BBスポーツフィールドというとサバイバルゲイム専用のインドアフィールドだというイメージを方もいるようだけど、東京マルイではサバイバルゲイム専用という考え方はしていません。シューティングゲイムやエアガンの取り扱い教室みたいな使い方も考えていてね。エアガンファンのためのパラダイスというのかな、エアガンファンであれば誰でも楽しめる場所に育てていきたいと思っていますし、そのための企画も考えていますよ。

【質問6】エアガンの規制という話が出ましたが、改正銃刀法に関してコメントをお願いします。


 今回の改正銃刀法はね、業界にとってもエアガンファンにとってもメリットがある。いままでは曖昧だったエアガンの存在に、国が安心して遊べる範囲を決めて、お墨付きを与えたわけです。趣味としてのエアガンが認められたわけですよ。この1年ほどはエアガンファンとしても不安があったでしょうけど、安心して遊べるっていう情報が広まれば、また多くの人が安心してエアガンを手にしてくれるはずですよ。
 安心してもらうためには正しい情報の提供が基本ですから、東京マルイではポスターも制作して、ショップさんにもエアガンファンにもエアガンは安心で健全な趣味の一つなのだと知ってもらう活動をしています。
 それと、全国の青少年条例の関係もあって18歳未満のエアガンファンが寂しい思いをしていると思います。そこで東京マルイでは来年には新しい企画を打ち出していきますよ。来年の春以降を楽しみにしていてください。これ以上は言えないな。(笑)

【質問7】今後、サバイバルゲイムやシューティングを応援する企画などありますか?


 もちろん力を入れていこうと考えていて、BBスポーツフィールドもその一環ですから。エアガンを趣味にしている人たちに安心して楽しんでもらえる環境やイベントは重要ですから、これからも積極的に取り組む考えです。期待していてください。

岩澤辰男 プロフィール

株式会社 東京マルイ 専務取締役。幼少の頃より、銃や機械物に興味を持ち、自ら玩具にも手を加えて遊んだという経験を持つ。東京マルイの製品開発でのポリシーとなっている、「低価格にして高性能」という方向性は起業以来の目標であるが、岩澤専務の想いを形にしたものでもある。エアガン業界のリーディングカンパニーとして、新製品開発に積極的であり、エアガンファンのための遊びの場である『BBスポーツ フィールド』もスタートさせた東京マルイの現場の顔として活躍している。


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