そんな彼が自身の原動力となった「グラインドハウス」でかつて観たB級作品の世界を映画ファンに提供すべく、当時の熱気や興奮、バカバカしさやチープ感までをも再現。最近の映画にはないパワーと自由さ、そして限界知らずの過激でセンセーショナルな表現を思い出させてくれる。
ところでアメリカでは、タランティーノが監督した『デス・プルーフ』と、ロバート・ロドリゲスが監督した『プラネット・テラー』が“同時上映された2本立ての映画”を模した1つの作品として公開されたが、日本ではそれぞれが独立した「ディレクターズカット版」として1本づつ公開される。アメリカ版では上映時間の関係でカットせざるを得なかった「どうでも良いような会話のシーン」や「アメリカの片田舎の雰囲気をダラダラ描写するシーン」等が、この日本公開版ではタップリと盛り込まれており、そこが逆にタランティーノ監督のファンにはウケると思う。
しかし一番驚くのはクライマックスの延々と続くカーチェイス&カースタント。
風景に変化のない田舎道でのチェイスといい、大胆なライブカメラの映像といい、『マッドマックス』('79)以来の衝撃を受けた。そしてあまりにも唐突なエンディングにも大爆笑は必至。
まあ、上手く説明できないが、その乱暴さ、下品さ、安っぽさが最高に贅沢だ、と思えるユニークな映画だ。
カート・ラッセルやメアリー・エリザベス・ウィンステッドなど、今をきらめくTOPスターたちが嬉々としてこの「低予算映画風プロジェクト」にノリノリで参加しちゃってるところも痛快。
1967年12月、東京都生まれ
銃器&映画ライター 銃器評論家 射撃選手 映画評論家
年に3〜4回は海外の試合や訓練に参加し、実銃射撃の経験
を積み重ねている[現役のs射撃手」でもある。銃に関してはカタログデータや資料
からの引用、列記のみによる頭でっかちな知ったかぶり原稿が許せず、“自分の肉眼
と身体で知りえた情報を書く!”が信条。