しかし映画も後半になると、石井にはこの作品、ところどころで登場してくる伏線を「拾い切れていない感」が積もってしまってどうしようもなかった。そして結局、終わってしまう。
ネタバレになるので公開前に書けないのがツラいところなのだが、実際には3時間近い作品だったのを、余分な要素を切って切って切っているうちに必要な部分まで落としてしまったのでは? というような印象を受けた。まあ、公開されるこの作品は純粋にアクション&サスペンス&ホラーとして劇場の大スクリーンで楽しめば良いとして、将来DVDとして発売される際にはもっと哲学的、比喩的な多層構造のドラマで展開するオリジナル尺の完全版、もしくはノーカット版が登場するのではないだろうか? とも思わせる「深み」が、ところどころに顔を覗かせる。それを見つけながら楽しむのもまた、コアな映画ファン、SFファンには一興かと。
ウィル・スミスの持っているM4A1、レールが付いてSUREFIREのタクティカルライト搭載。3点支持のタクティカルスリングつき。これでダーク・シーカーズから身を護る以外にもタイムズスクエアで鹿狩り(!)をしたり、時には孤独に耐えかねてビルの窓ガラスに乱射してストレス発散? したりと、フルオートでの回転もなかなかに調子よく、とても欲しくなってしまう。ただ、載っているスコープがトリジコンのACOGなのだが、自然光をファイバーで取り入れるあの独特なレッドダットの表現が映像でなされなかったのはちょっと残念だった。主人公は科学者なのだが、所属は米軍直属の研究機関という設定なので、銃が使えることに不自然さはない。
隠れ家の枕元にはイイ感じで角が摺れたU.S.M9(ベレッタM92FS)。移動用のSUV車にはフレームがタンカラーのH&K USP(.45口径か?)が隠してあった等、銃選択
にも説得力があったのは評価したい。
1967年12月、東京都生まれ
銃器&映画ライター 銃器評論家 射撃選手 映画評論家
年に3〜4回は海外の試合や訓練に参加し、実銃射撃の経験
を積み重ねている[現役のs射撃手」でもある。銃に関してはカタログデータや資料
からの引用、列記のみによる頭でっかちな知ったかぶり原稿が許せず、“自分の肉眼
と身体で知りえた情報を書く!”が信条。