アメリカには国の運営による健康保険=「国民皆保険(こくみんかいほけん)」が存在しない。よって国民は会社の福利厚生に頼るか、実費で民間保険会社に加入するしかなく、無保険者は約5000万人にものぼる。今やアメリカでは、事故、犯罪、テロ、戦争ではなく、治療費を払えないという理由で命を落とす人数のほうが圧倒的だ。
ある大工は仕事中に左手の中指と薬指を切断。切り落としてしまった指を持ち、慌てて病院に駆け込んだ彼に医師は言った。
“中指をくっつけるには6万ドル、薬指なら1万2千ドルの手術台が必要です。”
保険に入っていなかった彼は薬指だけで我慢した……。
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私なんぞは「世界最先端!」だと思っていたアメリカの医療。“日本では不可能な難しい手術も成功した!”とか、“厚生省が認可していない薬や治療法が受けられた!”といったニュースも時折流されるので、多くの人もそう思っていたのではないか?
しかし一方で、“手術に何千万かかりますのでカンパお願いします!”と街頭で募金集めをする家族やボランティアの映像、というのも記憶には残っている。
アメリカは治療費がそんなに高価いのか? でも外国人だから保険が適用されないのかな? 等と思っていたが……。 ’70年代、当時のニクソン政権のきわめて不道徳な動機によって制定された「民間委託保険制度」のあまりの悪どさ、陰険さに驚嘆! これは現在、日本でも政府がやたらと口にする「民営化」「合理化」のダークサイドが最悪のカタチで人々に牙を向いた結果だ。