主人公の父親役のジョン・ヴォイト、適役のエド・ハリス、そして謎のFBIエージェントに扮するハーヴェイ・カイテル。決して主役を演るわけではないのだが、彼らが予告編に出てくるだけで作品のクオリティが保証されるような気がして、何となく観たくなる、いや、観なければいけないんじゃないか? と思わせてしまう俳優たち。それが3人とも揃い踏みというのはいかにも豪華である。 考古学や歴史学、古文書の解読、旧い家具や歴史的建造物、そして遺跡に隠された仕掛けや罠、といったモチーフでストーリーを引張る作品でありながら時代設定は現在なので、様々な科学分析方法やインターネット、はたまた交通規制のための機器類までをも駆使する主人公の頭脳プレーの数々にも感心しつつ、とにかく筆者にとって楽しめる1本だった事は、改めて正直に申し上げたい。
銃もリンカーン暗殺に使われたパーカッション式のデリンジャーから、シークレットサービスが使うSIG P226やグロックまで、旧いの新しいの、色々出てきて面白かった。そんな中でエド・ハリス演じるウィルキンソンが持っているニッケル仕上げのM1911A1 (ガバメント)と、それを収めるために背中に吊った「クロコダイル(ワニ)革」のホルスターには眼を奪われた。たぶんGALCO(ギャルコ)社製の特注品だと思うが、家柄の面子にコダわる富裕層の人間を演出するためにこんな細部まで神経を使っているのか、この映画は! と驚かされた部分でもあった。
意外に思ったのは移民の国であるアメリカ人にとっても「家柄」とか「名誉」がとても大切らしい、という事。逆に移民の国だからこそ自分たちの先祖が何を成し遂げ、どのように今の国を作り上げたのか? それを子孫である自分たちが自分の責任として伝えなければならない! と必死な人々がいるのかもしれない。
いろいろな意味で意外性のある作品だったし、単純に楽しみたい、というだけの人でも満足できる、まさしくお正月映画に相応しい娯楽大作。
1967年12月、東京都生まれ
銃器&映画ライター 銃器評論家 射撃選手 映画評論家
年に3〜4回は海外の試合や訓練に参加し、実銃射撃の経験
を積み重ねている[現役のs射撃手」でもある。銃に関してはカタログデータや資料
からの引用、列記のみによる頭でっかちな知ったかぶり原稿が許せず、“自分の肉眼
と身体で知りえた情報を書く!”が信条。